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年末調整の会社のミスに後から気づいたときの直し方|前年・2年前・住民税

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給与計算・年末調整

~ 「去年の年末調整、間違っていたかもしれない」と気づいた社長へ ~


「従業員から『去年の源泉徴収票、扶養の人数が違っていませんか』と言われた」
「税務署から扶養控除の見直しの連絡が届いた」
「給与担当が辞めて引き継いだら、2年前の年末調整に入力ミスがあった」

年末調整のミスは、その場では気づかず、何か月も、ときには何年もたってから見つかることがよくあります。そのとき社長が一番知りたいのは「今からでも会社で直せるのか」「従業員に何を頼めばいいのか」「住民税はどうなるのか」の3つではないでしょうか。

この記事では、前年や2年前の年末調整のミスに後から気づいたとき、会社が何をすればいいかを、ミスの種類と時期で分けて整理します。

1. 結論:分かれ目は「翌年1月31日」

年末調整の訂正で最初に見るのは「今がいつか」です。目安になるのは、源泉徴収票と給与支払報告書の提出期限である翌年1月31日です。

💡 ざっくりした全体像

翌年1月31日まで:会社で年末調整をやり直す(再年末調整)のが基本。

2月以降で税金が足りなかった場合:何年前の分でも、会社が従業員から不足分を預かって納めます。

2月以降で税金を取りすぎていた場合:基本は従業員本人の確定申告(還付申告)で取り戻してもらいます。

「何年前のミスか」よりも、「ミスの向き(不足か取りすぎか)」と「1月31日を過ぎたかどうか」で対応が決まる、と覚えておくと迷いません。

2. まず確認:税金が「足りない」のか「取りすぎ」なのか

年末調整のミスは、大きく2つの向きに分かれます。

ミスの向き よくある原因 誰が困るか
税金が足りない
(控除を入れすぎた)
・扶養の要件を外れた家族を扶養に入れていた
・配偶者の収入が増えたのに配偶者控除のまま
・前職の給与を合算していなかった
会社(源泉徴収義務者として納付不足になる)
税金を取りすぎ
(控除が漏れていた)
・保険料控除の証明書を入れ忘れた
・扶養に入れられる家族を入れていなかった
・新しい控除(特定親族特別控除など)の申告漏れ
従業員(本来より多く税金を払っている)

⚠ 「足りない」ほうは会社の責任になります

源泉所得税は、会社が従業員から預かって納める税金です。納付が足りなかった場合、税務署からは会社に対して、不足分に加えて不納付加算税(原則10%、税務署の調査の通知前に自主的に納めれば5%)や延滞税がかかることがあります。気づいた時点で早めに動くほど負担は小さくなります。

3. ケース別・会社がやる訂正の手順
ケース① 翌年1月31日までに気づいた場合

この時期なら、会社で年末調整をやり直す「再年末調整」で直すのが基本です。

STEP 1

正しい内容で扶養控除等申告書・保険料控除申告書などを出し直してもらう(訂正箇所は二重線で直してもらえば足ります)。

STEP 2

年税額を計算し直し、差額を精算する。不足なら次の給与で徴収、取りすぎなら返金。

STEP 3

正しい源泉徴収票を作り直して従業員に渡し、税務署・市区町村へは正しい内容で提出する(提出済みなら訂正分として出し直す)。

ケース② 2月以降に「前年分の税金が足りない」と気づいた場合

この場合は、何年前の分であっても会社が是正します。放置すると、後から税務調査で指摘されたときに加算税・延滞税が重くなります。

STEP 1

どの年の、誰の、いくらが不足しているかを計算する(源泉徴収簿で訂正前と訂正後を比べられるようにしておく)。

STEP 2

従業員に事情を説明し、不足分を預かる(一度に引くと生活に響く金額なら、分割の相談も含めて丁寧に)。退職者の分も対象です。

STEP 3

不足分を納付書で納める。延滞税などの扱いを含めて、所轄の税務署や顧問税理士に確認しながら進めます。

STEP 4

源泉徴収票を作り直して再交付し、税務署(法定調書)と市区町村(給与支払報告書)に訂正分を提出する。

ケース③ 2月以降に「前年分の税金を取りすぎていた」と気づいた場合

1月31日を過ぎて源泉徴収票を出したあとに控除漏れが見つかった場合は、従業員本人が確定申告(還付申告)をして取り戻すのが基本です。還付申告は、対象の年の翌年1月1日から5年間できます。

✕ よくあるNG対応

「もう終わったことだから」と従業員に伝えずにそのままにする。従業員が後から気づくと、会社への不信感につながります。

○ OK対応

ミスの内容と金額の目安を伝え、確定申告で取り戻せること、そのために必要な書類(源泉徴収票・控除証明書など)を案内する。会社側の計算や入力の誤りが原因なら、会社側で訂正できる場合もあるので、税理士や税務署に確認する。

ケース④ 2年前・3年前のミスが見つかった場合

考え方はケース②③と同じです。ただし、年数がたつほど次のことが起こりやすくなります。

  • 対象の従業員がすでに退職していて、連絡や精算に手間がかかる
  • 当時の申告書・控除証明書が残っておらず、正しい金額を確かめられない
  • 同じミスが複数の年、複数の人に広がっている
  • 住民税も過去にさかのぼって変わるため、従業員への説明が増える

1人・1年分のミスを見つけたら、「ほかの人・ほかの年にも同じミスがないか」を必ず確認してください。年末調整の申告書は7年間の保存が必要なので、手元の書類で照らし合わせられるはずです。

4. 忘れやすい後始末:源泉徴収票・給与支払報告書・住民税

税金の精算をしただけで終わらせてしまうのが、一番多い失敗です。年末調整の数字は、次の3か所に流れています。

書類 提出先 訂正のポイント
源泉徴収票 従業員本人(一定額以上の人は税務署にも) 正しい内容で作り直して再交付。「再発行」とわかるようにしておく
給与支払報告書 従業員が住む市区町村 訂正分として出し直す。eLTAXなら該当者だけ「訂正」で再送信。紙なら事前に市区町村へ方法を確認
法定調書合計表 税務署 税務署に提出した源泉徴収票を訂正する場合は、あわせて見直す
💡 住民税はどう変わる?

給与支払報告書を訂正すると、市区町村が住民税を計算し直し、会社に「特別徴収税額の変更通知書」が届くのが一般的です。届いたらその月以降の給与から引く住民税額を変更してください。ここを見落とすと、住民税だけ古い金額のまま引き続けることになります。

なお、従業員が医療費控除などで自分で確定申告をしていた場合は、本人が修正申告や更正の請求をする必要が出ることがあります。その旨を一言伝えておくと親切です。

5. 後から見つかりやすい年末調整のミス(特に2025年分)

2025年分(令和7年分)の年末調整は、基礎控除や扶養の要件が大きく変わった最初の年でした。新しいルールに慣れないまま処理した会社も多く、今年になって前年分のミスが見つかるケースが出やすい年です。

見直したい項目 確認
扶養親族の所得要件(2025年分は合計所得58万円以下=給与だけなら年収123万円以下)で判定していたか □
19〜22歳の子のアルバイト収入が123万円を超えていたとき、新設の「特定親族特別控除」を申告してもらったか □
配偶者のパート収入が増えて、配偶者控除・配偶者特別控除の区分が変わっていなかったか □
年の途中で入社した人の前職の源泉徴収票を合算したか □
生命保険料・地震保険料・iDeCo(小規模企業共済等掛金)の控除証明書の金額を転記ミスしていないか □
扶養家族の氏名・生年月日・マイナンバーに誤りがないか(生年月日の誤りは年齢区分=控除額の誤りにつながる) □

こうした個別の間違いは、別の記事「年末調整の間違い10選」で詳しくまとめています。

6. 今年(2026年分)の年末調整で繰り返さないために

2026年分(令和8年分)の年末調整でも、控除の金額がまた変わります。主なところは次のとおりです。

項目 2025年分 2026年分
基礎控除(合計所得132万円以下の場合) 95万円 104万円
給与所得控除の最低額 65万円 74万円
扶養親族などの所得要件 58万円以下 62万円以下

「去年覚えた数字」が今年はもう違う、という状態です。前年のミスを直すときと今年の年末調整を進めるときで、どちらの年のルールで見ているのかを取り違えないことが大切です。実際の処理にあたっては、国税庁の「年末調整のしかた」など最新の資料で必ず確認してください。

💡 ミスを減らす3つの習慣

① 申告書を回収したら、前年の申告書と並べて「家族構成・収入の変化」を確認する

② 扶養に入っている家族の収入は、従業員に「見込み額」を必ず書いてもらう

③ 計算が終わったら、担当者以外の人が源泉徴収票を1枚ずつ見直す

年末調整のミスに後から気づいたら?前年・2年前の間違いを会社が直す手順と住民税への影響

7. 社労士と税理士、どちらに相談すればいい?

年末調整は「給与計算の一部」であると同時に「税金の手続き」でもあるため、相談先に迷う社長が多いところです。

内容 主な相談先
毎月の給与計算・年末調整の事務、訂正後の給与での精算、住民税額の変更反映 給与計算を担当する社労士
加算税・延滞税の判断、税務署とのやりとり、従業員の確定申告、税額の個別判断 税理士

当事務所では、顧問先の給与計算・年末調整の事務を担当し、税務の判断が必要な部分は会社の顧問税理士の先生と連携して進めています。「どこまでが給与計算の問題で、どこからが税理士の先生に相談すべきことか」の整理からでもお手伝いできます。

8. よくある質問
Q1. 前年の年末調整のミスは、会社が必ず直さないといけませんか?

税金が足りなかったミスは、会社に納付の義務があるので、気づいたら会社で精算して納める必要があります。取りすぎていたミスは、1月31日を過ぎていれば従業員本人の確定申告で取り戻すのが基本ですが、従業員への案内は会社がしてあげるのが望ましいです。

Q2. 何年前までさかのぼって直せますか?

従業員が取りすぎた税金を取り戻す還付申告は、対象年の翌年1月1日から5年間できます。税金が不足していた場合は、年数にかかわらず気づいた時点で是正するのが原則です。古い年の分ほど確認が大変になるので、早めの対応をおすすめします。

Q3. 住民税も自動的に直りますか?

会社が市区町村へ給与支払報告書の訂正分を出すことで、住民税が計算し直されます。出さなければ住民税は古いままです。訂正後に届く変更通知書の金額で、給与から引く住民税を変えてください。

Q4. 退職した人の年末調整のミスはどうなりますか?

在職中に行った年末調整のミスであれば、退職後でも会社に是正の責任があります。不足分の精算や源泉徴収票の再交付のために、本人へ連絡を取る必要があります。

Q5. 税務署から「扶養控除の見直し」の連絡が来ました。どうすればいいですか?

税務署は、扶養に入れられた家族の所得などを照合して、要件を満たしていない可能性がある場合に会社へ連絡することがあります。まず対象の従業員に事実を確認し、要件を外れていれば不足分を精算して納付します。期限が書かれていることが多いので、届いたら早めに顧問税理士の先生に相談してください。

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