給与計算のミスが経営リスクになる|社長が自分でやるときの7大落とし穴
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給与計算 ・ 顧問契約
~ 「自分でやっているから大丈夫」が一番怖い ~
給与計算を社長自身やパート事務員が担当している会社は、実は多い。会計ソフトや給与ソフトを使っていれば、とりあえず数字は出る。「特に問題なく回っている」と感じているケースがほとんどだ。
しかし、私(社労士)が給与計算の診断をすると、ほぼ100%の会社で何らかのミスや法的リスクが見つかる。「知らなかった」では済まない事態になる前に、自社の給与計算を一度見直してほしい。
この記事では、札幌市白石区の五合庵行政書士・社会保険労務士事務所が、給与計算の診断で実際によく見つかるミスと、そのリスクを解説する。
給与計算のミスは、単なる「計算間違い」で終わらない。労働基準法・社会保険法・所得税法にまたがる問題になる。具体的には次の3つのリスクが連鎖して発生する。
| リスクの種類 | 何が起きるか | 金銭的な影響 |
|---|---|---|
| 割増賃金の不払い | 元従業員や在職中の従業員から労基署に申告される | 過去3年分の遡及支払い+付加金(最大で同額) |
| 社会保険料の算定ミス | 定時決定・随時改定の手続き漏れ→保険料の過不足 | 追徴保険料+延滞金、年金額への影響(本人への説明責任) |
| 所得税の源泉徴収ミス | 年末調整のやり直し・不納付加算税 | 追加納付+不納付加算税(原則10%)+延滞税 |
労基署への申告や裁判は「退職後」に起きることが多い。在職中は何も言わなかった従業員が、辞めた翌月に申告するケースは珍しくない。
私が診断で実際に見てきたミスを、発生頻度の高い順にまとめた。自社に当てはまるものはないか、確認しながら読んでほしい。
固定残業代(みなし残業)を設定しているが、実際の残業時間が固定時間を超えても追加払いをしていない。固定残業代が適法に機能するには「超えた分は別途支払う」ことが絶対条件だ。
「うちは固定残業20時間込みで給料払ってるから問題ない」
→ 月によって25時間・30時間残業していれば、超過分の未払いが累積している。
時間外労働の割増率は25%以上、深夜(22時〜翌5時)は25%以上、休日労働は35%以上(法定休日の場合)。これらが重なると加算される。「残業代 = 時給 × 1.25」と単純に計算していると、深夜・休日分が漏れる。
また、割増計算の基礎となる「賃金」に何を含めるかを間違えているケースも多い。職務手当・役職手当・精皆勤手当は原則として基礎賃金に算入しなければならない。
昇給・降給・手当の新設などで固定的賃金が変動したとき、一定の条件を満たすと標準報酬月額を改定する手続き(随時改定)が必要になる。これを知らずに放置すると、保険料が実態と大きくずれ続ける。
随時改定は会社が自主的に届け出なければならない。年金事務所から「間違ってますよ」と連絡は来ない。
産前産後休業・育児休業の期間中は、申請すれば社会保険料(会社負担分も含む)が免除される。申請しなければ通常通り徴収され続ける。ただし、申請は自動ではなく会社から年金事務所への届け出が必要だ。
扶養控除等申告書・保険料控除申告書・住宅借入金等控除申告書の記載内容をチェックせず、そのまま通している。内容に誤りがあっても申告書を信じて処理すると、源泉徴収税額が変わり、最悪の場合は従業員から「年末調整のやり直し」を求められる。
欠勤控除の計算が曖昧なケースが非常に多い。月給制と日給月給制では欠勤1日あたりの控除額の算出方法が異なる。就業規則に明記がなく、「なんとなく」で控除しているケースは要注意だ。
2020年の労基法改正で賃金請求権の消滅時効が5年(当面は3年)に延長され、賃金台帳などの保存期間も当面は3年となった。「2年分あれば大丈夫」は過去の話だ。また、紙でしか保存していない場合、紛失・水害・火災で全滅するリスクがある。
給与ソフト(弥生給与・freee人事労務・マネーフォワードクラウド給与など)を使っていれば安心、と思っている経営者は多い。しかし、ソフトは「入力された設定通りに計算する道具」にすぎない。
| ソフトがやってくれること | 人間が判断しなければならないこと |
|---|---|
| 計算式の適用(税率・保険料率) | 割増賃金の基礎賃金に何を入れるかの判断 |
| 保険料率の自動更新(ソフト側が対応している場合) | 随時改定が必要かどうかの判断 |
| 源泉徴収税額の自動計算 | 扶養の判定・非課税通勤費の上限チェック |
| 明細書の自動発行 | 勤怠データの正確な入力・残業時間の把握 |
要するに、「正しい設定と正しい入力」があってはじめてソフトは正しく動く。設定が間違っていれば、毎月正確にミスを繰り返してくれる機械になってしまう。
給与計算のミスが表面化するのは、多くの場合「退職した従業員が動いたとき」だ。在職中は波風を立てたくないという心理から黙っていた人が、辞めた後に相談窓口(労基署・弁護士・社労士)に駆け込む。
発覚した場合の対応コストは大きく3種類ある。
- 未払い賃金の遡及支払い:過去3年分の差額を一括で支払う必要がある。従業員10人・月平均2万円の不払いなら、3年遡ると720万円になる
- 付加金・延滞金:裁判になった場合、未払い額と同額の付加金が命じられる可能性がある(労基法114条)。720万円なら最大1,440万円
- 社労士・弁護士費用と社内対応コスト:顧問社労士がいない場合、スポット対応の費用が別途発生し、社長自身が対応に追われる時間も損失になる
建設業の社長が「うちはずっと自分で給与計算していた」と言って相談に来た。退職した現場監督から未払い残業代を請求されたのがきっかけだった。勤怠記録がタイムカードではなく手書きのメモしかなく、立証が難しい状況だった。最終的に和解で解決したが、支払い額と対応コストを合わせると相当な金額になった。

「給与計算を外注する」とは、単に計算の手間を減らすことではない。法的なチェックが毎月入る仕組みになる、ということだ。
社労士に給与計算を依頼すると、以下が自動的についてくる。
- 法改正(社会保険料率の改定・最低賃金の変更)の自動反映
- 随時改定の要否チェック(昇給・手当変更のたびに社労士が判断)
- 産休・育休期間中の保険料免除手続き
- 36協定との照合(残業時間が上限に近づいたときの早期アラート)
- 年末調整の書類チェックと計算サポート
給与計算ソフトのサポートに電話しても、「法律的にどうすべきか」は答えてもらえない。「従業員がこう言っているがどう対処すればよいか」「この手当は割増賃金の基礎に入れるべきか」といった判断を、すぐに相談できる専門家がいることは、経営者にとって大きな安心材料になる。
札幌市白石区の五合庵行政書士・社会保険労務士事務所では、行政書士・社労士のダブルライセンスを活かし、給与計算の代行に加えて労務相談・各種手続きもワンストップで対応しています。従業員数・給与の複雑さに応じて月額をご提案します。まずは現在の給与計算の内容をお聞かせください。
今すぐ社労士に外注しない場合でも、以下のチェックリストで自社の状態を確認してほしい。1つでも「わからない」があれば、一度専門家に見てもらうことを強くすすめる。
| チェック項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 固定残業代を設定している | 超えた分を別途払っているか?就業規則・雇用契約書に明記されているか? |
| 割増賃金の計算 | 深夜・法定休日の割増率が正しく適用されているか?基礎賃金に職務手当等を含めているか? |
| 昇給・手当変更があった | 随時改定の要否を確認したか? |
| 育休・産休の社員がいる | 保険料免除の申請を年金事務所に届け出たか? |
| 勤怠記録の保存 | タイムカードまたはシステムログが3年以上保存されているか? |
| 年末調整 | 控除申告書の内容を毎年確認しているか? |
「全部クリア」できれば、とりあえず大きなリスクは回避できている。しかし、そのチェック自体に自信がなければ、一度プロの目で診断を受けることを検討してほしい。
A. 自分で計算すること自体は問題ありません。ただし、割増賃金の計算や社会保険の届出が正しくなければ、その責任はすべて会社が負います。「誰が計算したか」ではなく「正しいかどうか」が問われます。
A. 未払いの残業代などの賃金は、現在は3年分さかのぼって請求できます。社会保険料の追徴は、原則として最大2年分です。
A. 計算そのものはソフトが正確に行いますが、「どの手当を割増の基礎に入れるか」「随時改定が必要か」といった判断はソフトではできません。設定が間違っていると、毎月同じミスが続きます。
A. はい。五合庵行政書士・社会保険労務士事務所では、給与明細や届出を確認する「給与計算の健康診断」を22,000円(税込)からお受けしています。
A. はい。事務所は札幌市白石区ですが、ご相談はオンライン(ビデオ通話)とメールで行うため、全国どこからでもご依頼いただけます。
現在の給与計算の方法・ソフト・人員体制をお聞きして、
リスクがないかどうかをざっくりお伝えします。
相談は完全無料、押しつけ販売は一切ありません。
毎日9:00〜18:00(月〜水は21:00まで) / オンラインで全国対応
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