パートの給与計算で社長がハマる3つの落とし穴
パート / 有給休暇 / 残業代 / 社会保険 / 給与計算
給与計算・顧問契約
~ 「パートだから大丈夫」が一番危ない ~
「パートの給与計算は正社員より簡単だから自分でやっている」という社長は多い。
確かに、月給制の正社員と比べると計算式はシンプルだ。しかし「簡単」と「ミスがない」は別の話だ。
実際、パートを複数人雇っている飲食・小売・介護の会社から「知らなかった」と言って相談に来るケースが後を絶たない。特に2026年10月以降は、これまで「うちは関係ない」と思っていた会社にも新たなルールが適用される。
この記事では、パートを雇う会社の社長がハマりやすい3つの落とし穴を、具体的な数字とともに解説する。
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務は、これまで段階的に対象企業が拡大されてきた。そして2026年10月からは、企業規模に関わらずすべての会社が対象になった。
つまり、従業員が3人しかいない飲食店でも、次の条件をすべて満たすパートは社会保険に加入させる義務がある。
| 加入義務が生じる4つの条件 | 注意点 |
|---|---|
| ① 週の所定労働時間が20時間以上 | 「契約上19時間」でも実態が20時間以上なら対象 |
| ② 月額賃金が8万8,000円以上 | 交通費・賞与・残業代を除いた所定賃金で判定 |
| ③ 継続して2ヶ月を超えて使用する見込みがある | 「2ヶ月の短期」で採用しても実態が継続なら対象 |
| ④ 学生でない | 夜間・通信制学生は対象になる場合あり |
加入漏れが発覚した場合の会社のリスク
→ 過去2年分の保険料(本人負担分+会社負担分)を追徴される可能性がある。本人から取り返せないケースでは全額を会社が負担することになる。
社会保険加入を避けるため「週19.5時間」でシフトを組んでいる会社は多い。しかし繁忙期の臨時出勤や、実態として20時間を超えているケースでは、労務調査で問題になる。シフト管理と実績の突き合わせが必要だ。
パートタイマーにも有給休暇は発生する。これは労働基準法で定められており、例外はない。
「うちはパートに有給を与えていない」という会社は、気づかないうちに法律違反を続けている可能性がある。
正社員は入社6ヶ月後に10日の有給が発生するが、パートは週の所定労働日数に応じた「比例付与」となる。
| 週の所定労働日数 | 6ヶ月後 | 1年6ヶ月後 | 2年6ヶ月後 |
|---|---|---|---|
| 週4日 | 7日 | 8日 | 9日 |
| 週3日 | 5日 | 6日 | 6日 |
| 週2日 | 3日 | 4日 | 4日 |
| 週1日 | 1日 | 2日 | 2日 |
時給1,100円・週3日・1日6時間勤務のパートが2年6ヶ月働いた場合
→ 累計で最大 17日分の有給が発生している(取得・買取がなければ未払い扱いとなるリスクあり)
→ 1日分の賃金:1,100円×6時間=6,600円 × 17日 = 112,200円
2019年4月から「年5日取得」が義務化されている
週4日以上または年間217日以上勤務のパートは、正社員と同じく「年5日の有給取得」が会社の義務となった。取らせなかった場合、1人あたり最大30万円の罰金が科される。
「うちのパートは残業させていないから残業代は関係ない」と思っている社長は多い。しかし実際には、本人が気づかないうちに残業代が発生しているケースが少なくない。
「今日だけ忙しいから2時間手伝って」と頼んだ日、通常6時間勤務のパートが8時間を超えた部分は残業代(1.25倍)が必要。
月〜土の週6日、毎日7時間ずつ入れると週42時間。2時間分の割増賃金が発生する。飲食・小売で多いシフトパターンだ。
繁閑差が激しい飲食・小売では「1ヶ月単位の変形労働時間制」を就業規則に定めることで、繁忙期に長く働いてもらっても残業代を抑えられる制度がある。ただし就業規則と届出が必要なため、社労士への相談が不可欠だ。

自社の状況をざっと確認してほしい。1つでも「わからない」がある場合は、早めに専門家に相談することをおすすめする。
| チェック項目 | 問題がない状態 |
|---|---|
| 週20時間以上・月8.8万円以上のパートを把握している | 全員を社会保険に加入させている |
| 6ヶ月以上継続しているパートがいる | 有給付与日数を計算・管理している |
| 繁忙期に急きょ長時間入ってもらうことがある | その日・その週の労働時間を記録し、残業代を計算している |
| 変形労働時間制を就業規則に定めていない | 週40時間超えが発生しないシフト管理をしている |
| パートの給与計算を自社で行っている | 最新の法改正(社会保険・最低賃金)を毎年確認している |
パートを雇う会社にとって、給与計算のミスは「少し損をする」だけでは済まない。社会保険の加入漏れは2年分の追徴、有給の未付与は未払い賃金、残業代の未計算は割増賃金請求——いずれも、発覚した時点で一気にダメージが噴出する。
特に2026年10月以降は、これまで「小さい会社だから関係ない」と思っていた社会保険の話が、すべての会社に降りかかってくる。
「うちのパートの給与計算、本当に正しいのかな」と少しでも感じたなら、一度専門家に確認してもらうのが一番の近道だ。当事務所では給与計算のスポット診断(初回無料相談)を行っている。お気軽にお問い合わせいただきたい。
社会保険・有給・残業代の3点をまとめてチェックする「給与計算スポット診断」を承っています。
初回相談は無料。オンライン(Zoom)・対面どちらも対応します。
土日も夜9時まで営業 ・ 全国対応
お名前・メールアドレスを入力し、ご相談内容をお書きください。


