北海道の最低賃金1,131円に|月給制の社員も要注意、10月分の給与計算前に確認したい3つの落とし穴|札幌の社労士が解説
2026年10月 / 北海道 / 固定残業代 / 最低賃金 / 月給

給与計算・最低賃金
~ 「うちは月給制だから関係ない」が一番危ない。10月分の給与計算前に確認したいこと ~
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改定後の金額 | 時間額 1,131円 |
| 引き上げ額 | 56円(改定前 1,075円) |
| 発効日 | 2026年(令和8年)10月1日 |
| 対象 | 北海道内で働くすべての労働者(正社員・パート・アルバイト・試用期間中の人を含む) |
ポイントは、10月1日以降に働いた分から新しい金額が適用されることです。たとえば「9月21日〜10月20日」締めの会社では、同じ給与期間の中で9月分は旧金額、10月1日以降の分は新金額で判定することになります。
⚠ 一部の製造業は「特定最低賃金」にも注意
鉄鋼業など一部の業種には別に「特定最低賃金」が定められています。地域別の最低賃金(1,131円)と特定最低賃金の両方が適用される場合は、高いほうの金額以上を支払う必要があります。
「最低賃金はパートやアルバイトの話」と思われがちですが、月給制の正社員も対象です。月給を時給に直して、1,131円以上になっているかを確認します。
(月給 − 最低賃金の計算に入れない手当)÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 1,131円
1か月平均所定労働時間 =(365日 − 年間休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12
1か月平均所定労働時間=(365−105)×8÷12=約173.33時間
| 月給(手当を除く) | 時給換算 | 判定 |
|---|---|---|
| 190,000円 | 約1,096円 | ✕ 不足 |
| 195,000円 | 約1,125円 | ✕ 不足 |
| 197,000円 | 約1,136円 | ○ クリア |
この条件の会社では、月196,040円程度(1,131円×173.33時間)が最低ラインになります。昨年まで問題なかった「月給19万円」が、今年から最低賃金を下回るケースが出てくるのです。
この「月平均所定労働時間」は、残業代の基礎時給を出すときにも使う数字です(残業代の「時給」、その計算で合っていますか?)。
次の賃金は、最低賃金を満たしているかの計算から除外します。月給の総額で見ると足りていても、これらを除くと下回ることがあります。
| 除外するもの | 例 |
|---|---|
| 臨時に支払われる賃金 | 結婚手当など |
| 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 | 賞与 |
| 時間外・休日・深夜の割増賃金 | 残業代、深夜手当、固定残業代 |
| 精皆勤手当・通勤手当・家族手当 | 皆勤手当、交通費、扶養手当 |
反対に、役職手当・職務手当・資格手当などは、毎月決まって支払われるものであれば最低賃金の計算に含めることができます。
「月給20万円(固定残業代3万円を含む)」。総額は20万円でも、最低賃金の判定に使えるのは基本給の17万円だけ。17万円÷173.33時間=約981円で、大きく下回っています。
固定残業代を除いた部分で1,131円以上になるよう、基本給を見直します。固定残業代の設計そのものの注意点は固定残業代の記事もご覧ください。
基本給を低めにして、皆勤手当・通勤手当で総額を整えている。これらは最低賃金の計算から除外されるため、基本給だけで判定すると不足していることがあります。
手当を除いた金額で判定し直します。賃金の内訳を変える場合は、従業員への説明と就業規則(賃金規程)の変更もセットで行います。
時給を1,131円以上に上げたところ、パートさんの年収が扶養の範囲を超えそうになり、本人から「シフトを減らしてほしい」と言われる。年末の人手が足りなくなる。
10月の時点で、年末までの見込み年収をパートさんごとに確認し、シフトを早めに相談しておきます。社会保険の加入条件も合わせて確認しましょう(パートの給与計算で社長がハマる3つの落とし穴)。
- 最低賃金を下回る賃金の約束は、その部分が無効になり、最低賃金額で約束したものとみなされます
- 差額はさかのぼって支払う必要があります
- 地域別最低賃金を下回った場合、50万円以下の罰金の対象になります(最低賃金法40条)
- 労働基準監督署の調査で、最低賃金は真っ先に確認される項目のひとつです
労基署の調査が入ったときの対応は労基署から呼び出された!経緯報告書を持参すべき理由と書き方で解説しています。
| 順番 | やること |
|---|---|
| ① | 時給制のパート・アルバイト全員の時給が1,131円以上か確認する |
| ② | 月給制の社員について、除外する手当を引いたうえで時給換算する |
| ③ | 日給制の社員は「日給÷1日の所定労働時間」で確認する |
| ④ | 給与ソフトの時給・基本給の設定を、10月1日以降の勤務分から変更する |
| ⑤ | 昇給した人は、社会保険の月額変更届の対象になるか確認する |
| ⑥ | 求人票・募集広告の時給も新しい金額に直す |
最低賃金に合わせて基本給や時給が上がると、それは「固定的な賃金の変動」です。条件に当てはまれば、3か月後に月額変更届が必要になります。漏れると年金事務所の調査でさかのぼって指摘されることがあります(給与計算の7大落とし穴)。
| チェック項目 | 確認 |
|---|---|
| 時給制の従業員は全員1,131円以上になっている | □ |
| 月給制の社員を、手当を除いて時給換算した | □ |
| 固定残業代を除いた基本給で判定した | □ |
| 自社の「1か月平均所定労働時間」を把握している | □ |
| 給与ソフトの設定を10月1日の勤務分から変更した | □ |
| 扶養の範囲で働くパートの年末までの見込み年収を確認した | □ |
| 昇給者の月額変更届の要否を確認する予定を立てた | □ |

いいえ。試用期間中の人にも最低賃金は適用されます。例外的に減額できる特例はありますが、都道府県労働局長の許可が必要で、会社の判断だけで下げることはできません。
9月30日までの勤務分は改定前の金額(1,075円)、10月1日以降の勤務分は改定後の金額(1,131円)以上で判定します。シンプルにするため、その給与期間の初日から新しい時給に切り替える会社もあります。
含められません。固定残業代は時間外労働の割増賃金にあたるため、最低賃金の判定からは除外します。基本給など、残りの部分で1,131円以上になっている必要があります。
はい。地域別最低賃金は都道府県ごとに決まるため、札幌・旭川・帯広・函館など北海道内はすべて1,131円です。道外に事業所がある場合は、その事業所がある都道府県の金額が適用されます。
はい。「給与計算の健康診断」(22,000円から)で、直近3か月の給与明細をもとに最低賃金・割増率・社会保険の加入漏れなどを確認し、指摘レポートをお渡しします。
- 北海道の最低賃金は2026年10月1日から1,131円(56円アップ)
- 月給制の社員も、手当を除いて時給換算して確認する
- 固定残業代・皆勤手当・通勤手当・家族手当は計算に入れない
- 扶養内パートのシフト調整と、昇給者の月額変更届もセットで確認する
最低賃金の改定は毎年やってきます。今年クリアしていても、来年は下回るかもしれません。自社の「月平均所定労働時間」と、手当を除いた基本給を一度整理しておくと、毎年の確認がぐっと楽になります。
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